矯正歯科における顎間ゴムの有用性とは?
歯科治療は日々進歩していきます。中でも矯正歯科における矯正装置の進歩には目を見張るものがあります。矯正装置と言えば、昔は傍から目立つのが普通で、患者さんには審美的にも肉体的にも苦痛を強いてきたものです。それが今では比較的快適に過ごせるように配慮されて、しかも審美性に優れたものが多くなってきました。しかし矯正治療において大切なのは矯正装置だけではありません。矯正治療の補助的役割を担うものの中にも大切なものがたくさんあります。その中の一つがゴムです。日常生活においてゴムはよく使う日用品の一つではありますが、矯正治療でゴム?と首を捻る方も多いのではないでしょうか。ここでは、矯正歯科におけるゴムの有用性についてお話したいと思います。
ゴムとはどのようなものか
矯正歯科で使用するゴムとは、顎間ゴムと呼ばれている医療用の小さな輪ゴムのことを言います。上の歯と下の歯の矯正装置に跨る形で引っかけて使用します。色々な大きさや太さがあって、太いほど矯正力が強いです。矯正歯科でよく使われるのは60gのもので、力は弱く、そうめんぐらいの太さがあります。最新のものでは非常に弱い力で優しく治療することが可能になっています。
どのような効果があるのか
使用するゴムの数やゴムをかけている時間、ゴムのかけ方などは症状によって様々ですが、いずれも患者さん自身が行わなければいけない為、煩わしさを感じる方もいらっしゃいます。また上下の矯正装置を繋ぐ形で使用しますので、口が開けにくい不便さもあります。しかし、このゴムかけは歯を抜いた後にできる隙間をスムーズに埋めたり、出た歯を引っ込めたり、引っ込んだ歯を出したりする重要な役目を担っているのです。ゴムの使用期間は人によって違いますが、多少の煩わしさがあっても、ゴムを指定された場所に引っかけるだけで得られる効果は大きいですので、指示された期間は欠かさず使用したいところです。
どのようなケースで利用されるのか
大きく分けて、矯正装置にはブラケットと呼ばれる小さな板を歯面の一つ一つに接着し、ワイヤーを通して歯列を連結させるワイヤー式の方法とマウスピースのように取り外しのできるものを装着する方法の二種類があります。それぞれに長所と短所がありますが、顎間ゴムはワイヤー式の方法の際に使用されます。ワイヤー式のものは左右に引っ張る力は調整できますが、出ている歯を引っ込めたり、引っ込んでいる歯を出したりすることはできない為、下あごが引っ込んでいる場合や歯が前に迫り出している場合の改善はできません。その分、ワイヤー以外に上下の力を加える必要があります。そこで必要になってくるのが顎間ゴムです。上記でもお話しましたように、ゴムかけにより出ている歯を引っ込めたり、引っ込んでいる歯を出したりすることができますので、大変有効です。左右に引っ張る力に優れたワイヤー式と上下の力を加えることができるゴムかけを併用すれば、多くの症例に対応できます。
まとめ
このようにワイヤー式の矯正治療を受ける際にゴムはとても重要な役目を果たすことが分かりました。弱い力のゴムが歯を出したり、引っ込めたりすることができるのですから凄いことです。皆さんもワイヤー式の矯正治療を受ける際には、多少の煩わしさには目を瞑って、ゴムの有用性を理解して有効に使っていただきたいと思います。