歯医者さんで麻酔をして治療をした後は、まだ麻酔薬のしびれたような感覚が残っていることが多く、食事のタイミングをいつにしたらいいのか困ってしまったことはありませんか?今回は、抜歯を中心にした歯科麻酔での注意点と食事についてご紹介します。
麻酔薬がまだ効いているうちに食事をすると、どんなことになるのですか?
歯科での治療で麻酔を使った場合の麻酔の持続時間は、おおよそ1時間から3時間ほどの間です。麻酔はその効果が切れ始めるのが約1時間後なのに対して、抜歯後の食事は出血が止まっていれば抜歯後30分頃から可能です。
このように、食事ができるようになる時間と麻酔が切れて感覚が正常になるまでの時間に差があるので、麻酔薬の効果が残って口の中の粘膜や唇の感覚が麻痺していると、熱い食べ物でやけどをしたり、唇や頬の粘膜を誤って噛んでしまったりすることがあります。
特に、初めて歯科麻酔を経験する小さなお子様は、唇や頬などのしびれた感覚が気になって、唇や頬の内側を歯で挟むようにして確かめられることが多く、それで大きな傷を作ってしまう事も少なくありません。
口の中を誤って傷つけてしまいできた傷は、ケナログなどの軟膏を塗れば早く治りますが、できればこのような事態は避けたいものです。
抜歯後に食事をする時の目安はありますか?
抜歯後の食事のタイミングの目安は、抜歯した場所の血が止まっているかどうかです。もしまだ唾液にうっすらと血液が混じっていて赤くなっていても、食事をするのに問題はありません。ただし、抜歯窩(ばっしか)という抜歯した部分の凹みにできている血の塊が取れてしまわないように注意しましょう。
抜歯後に傷口を縫ってある場合には、抜歯窩の中に食べかすが入り込むことはあまりありませんが、縫わずにそのままにしている場合には、ここに食べかすが入り込んでしまうことがあります。
そんな時には、指や爪楊枝などで無理に食べかすを取り除こうとしないで、水で軽くうがいをして食べかすを取り除くのがいいでしょう。
飲酒や喫煙は影響ありませんか?
アルコールは末梢血管を拡張させて血圧を上昇させるので、抜歯当日は出血が長引かないように控えておいた方がいいでしょう。
また、日常的に飲酒している人の中には、抜歯後に処方される鎮痛剤の効き目が鈍くなる方もおられます。抜歯後のトラブルを防ぐためにも抜歯前後の飲酒は控えておいた方がいいですね。
また、喫煙すると末梢血管が収縮して患部への血流が妨げられ、抜歯窩の治癒が遅れてしまう恐れがあります。こちらもできれば抜歯当日は控えておかれる方がいいでしょう。
抜歯後に腫れてきた場合にはどうしたらいいですか?
抜歯後にひどく腫れてしまう方は少数ですが、大きく腫れると食事にも支障が出てきます。鎮痛剤は飲んでから効き始めるまでに約30分かかります。そのため、麻酔薬が切れた後、腫れて痛み出してから慌てて鎮痛剤を飲んでも、腫れや痛みを強く感じて食事ができなくなることもあります。鎮痛剤を処方された場合には、麻酔薬が切れる前にあらかじめ飲んでおくことをお勧めします。
抜歯後に腫れてきた場合には、患部を冷やしたり激しいスポーツや入浴を控えて体温を上げたり血行を促進させずに安静にしていると治まることがほとんどです。
口を開けられない、痛みがひどいなどの症状が無ければ、通常の食事をされてかまいません。
歯科麻酔後の食事は、いつもと口の中や唇の感覚が変わっている状態で行うことも少なくありません。今回ご紹介した注意点を参考にお口のトラブルを防いでみてください。