できるだけ目立たないようにして矯正治療をしたいのですが
矯正治療に使われる器具は1980年までは歯に接着するブラケットという装置も、ブラケットに通すワイヤーも全て銀色の金属色一色で、非常に目立つ矯正装置で行われていました。
その後、矯正装置を少しでも目立たないようにして快適に矯正治療を行いたいというニーズにお応えする形で、1980年代になると目立たない透明プラスチック製のブラケットや、歯の色に近い乳白色のセラミック製ブラケットが開発されるようになりました。ブラケットをつなぐワイヤーも従来のギラギラとした金属色の銀色のものから、ホワイトやゴールド色などの落ち着いた目立たない色調のものへと変わってきています。
矯正装置に用いられる器具は、審美面の向上のみならず機能面でも大きな役割を果たしました。それまでは、金属製のブラケットに一つ一つ手作業で曲げたワイヤーを通して、細い針金で歯の一本一本にワイヤーを固定していた治療から、あらかじめ患者様の歯列に合わせて加工した形状記憶合金製の細く弾力性に富んだワイヤーを用いるようになりました。このワイヤーをセラミックやプラスチック製のブラケットに通し、できるだけ少ない力で負担をかけずに歯を動かす治療へと進歩しています。
弾力性の少ないワイヤーでの治療では、矯正装置の調整直後に最も強い矯正力が歯にかかり、歯の移動と共にワイヤーの矯正力が落ちてしまうため、装置の調整後に痛みを感じる患者様もおられました。現在では形状記憶合金の元の形に戻ろうとする力を利用して、常に弱い一定の矯正力を歯にかけることができるようになり、個人差もありますがほとんど痛みを感じることなく治療することが可能になっています。また、強い力が一時的に加わるよりも弱い力が持続的にかかる方が歯の移動量は大きいので、効率的に矯正治療を進めることができ治療期間の短縮につながっています。
また、ブラケットとワイヤーの固定方法も改良されて、ブラケットとワイヤーの摩擦抵抗を著しく下げることができるようになっています。このために、ワイヤー上をブラケットが流れるように滑らかに抵抗なく動けるようになり、より弱い力でスムーズに歯を移動させることが可能になりました。 つまり、今まで矯正治療のデメリットとされていた見た目の悪さ、治療の痛み、治療期間の長さ、といた問題点が著しく改善されているのです。
当院での矯正器具
当院では目立ちにくい器具(セラミックとにぶいgold色のワイヤー)を用いた歯の表側からの矯正治療が標準となっております。また、矯正装置を表側から全く見えないよう希望される方には、歯の裏側からの見えない矯正治療も行わさせていただいております。また、上下とも裏側に装置を装着するのではなく、外から見えやすい上だけを裏側から、下を表側からの矯正装置で行うという治療の選択も可能です。患者様のライフスタイルやお口の中の状態の合わせた最適な治療方法をご提案させていただきますので、どうぞご相談ください。