虫歯を医療用語で何というか、ご存知ですか?
虫歯と聞いて、分からない方はおそらくいらっしゃらないでしょう。お口の中の細菌が作り出す酸によって歯が溶かされる病気で、歯科では歯周病と並ぶ二大疾病の一つです。年代に関係なく、大人も子供も罹る一般的な病気ですが、この虫歯を医療用語で何というか、ご存知のない方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は虫歯を医療用語で何というのか、虫歯というのは医学的には歯がどのような状態になっていることを指すのかといった、少し専門的なお話をしていきたいと思います。
虫歯を医療用語で何というのか?
虫歯のことを医療用語ではう蝕もしくはカリエスと言います。う蝕にかかった歯をう歯と呼んでいますが、一般的には虫歯と呼ばれることが多いですね。そして、う蝕が進んで歯に開いた穴のことをう窩と言います。「う」は難しい漢字ですが「齲」と書きます。
う蝕とは医学的に歯がどのような状態になったことを指すのか?
う蝕は口の中の細菌が作り出す酸によって歯が溶かされる病気ですが、医学的には細菌による感染症に分類されています。酸を作り出すと言われているストレプトコッカスミュータンス菌の数や酸を作り出す原因となる食事の摂取回数、唾液の状態や歯の質などがう蝕の発生に大きな影響を与えています。口の中の細菌と食物残渣の糖質と唾液が結合して、う蝕の原因となる歯垢を作り出します。歯面に定着した歯垢の中に、細菌が糖質から作り出した酸が大量に放出されると、口の中のpHが酸性に傾きます。通常口の中のpHは7.0ですが、これが5.5まで下がると歯の表面のエナメル質が溶け始めます。これを脱灰と呼んでいます。しかし唾液には酸性に傾いた口の中をアルカリ性に戻す作用がありますので、溶け始めたエナメル質も一旦は補修されます。こちらは再石灰化と呼ばれています。その為、初期う蝕の場合、再石灰化により元に戻る可能性もある訳ですが、残念ながら口の中には常に細菌がいて、定期的に食物を摂取する為、再石灰化が間に合わず、ついには歯に穴が開いてしまうことも少なくありません。エナメル質が溶け始め、歯が脱灰された状態を、医学的にう蝕と呼んでいるのです。う蝕は進行度によって、CO、C1、C2、C3、C4の五段階に分けられています。COはう窩が確認できない初期のう蝕、C1はエナメル質に限定されたう蝕、C2はエナメル質の下の象牙質まで進んだう蝕、C3は歯の神経である歯髄にまで達したう蝕、C4はう蝕により歯冠が崩壊して、歯根だけになってしまった状態を言います。
まとめ
このように身近な病気である虫歯も医療用語を使うと少々難しく聞こえてしまうかもしれませんが、早期発見早期治療が大切なことは他の病と何ら変わりがありません。もちろん予防の為の毎日の歯磨きが大切なことは言うまでもありませんので、毎日の歯磨きを怠らず、少しでもおかしいと感じたら早めに歯科医院を受診されることをおすすめします。