歯科用麻酔で眠くなるのはなぜ?
歯科治療での麻酔後に起こる眠気
歯科で虫歯の治療や外科処置を行う際、多くの場合は歯科用局所麻酔を使用します。(細い針で歯茎に注射をするもの)この局所麻酔後に、眠気を感じられる方がまれにいらっしゃいます。歯の一部に行った麻酔が、脳まで影響して眠気が出ているのでしょうか?麻酔が効きすぎではないのか?心配になることもあると思います。
この麻酔後に起こる眠気はいったい何が原因なのでしょうか?
歯科用麻酔で眠気は起こらない?
歯科で通常行われる局所麻酔は、浸潤麻酔と呼ばれるもので、麻酔を効かせたい部分に徐々に麻酔薬を注入し浸透させていきます。ですので、麻酔をした部分にだけ麻酔の効果があらわれ、痛みを感じなくなります。(麻酔を打つ歯茎には、毛細血管が張り巡らされていますので、麻酔をした部分の周りにも血流によって麻酔薬が流れていきます。そのため周囲にも、多少の麻酔の影響が及びます。)ですが、歯科で使用される局所麻酔には、麻酔成分が全身に作用するようなものはありません。
ですので、歯科用の局所麻酔で眠気が引き起こされるということは基本的には起こらないはずなのです。
なぜ治療後に眠くなってしまうのか?
ですが、歯科で麻酔を使用した治療後に眠くなってしまうという方がいらっしゃるのは事実です。なぜ、眠気が起きてしまうのでしょうか?
- ・緊張状態からの解放
- 歯科治療を受けるのは誰でも緊張します。特に麻酔を使う治療の際には、治療時間が長くかかることや、歯が削られる、抜かれることへの恐怖心を抱くことがあります。治療終了後に、その緊張状態から解放されることにより、リラックスした状態に戻った際に眠気を感じることがあります。歯科治療に恐怖心があったり不安を強く感じている場合に起きやすく、特に小児や、歯科恐怖症の方、久しぶりの歯科治療の際などにこの症状がみられることがあります。
- ・体質、体調(寝不足など)
- 歯科用麻酔には眠くなる成分は含まれてはいませんが、血圧を上昇させたり、心拍数が上昇する成分が含まれています。(アドレナリン、エピネフリン)この作用が強く出る方の場合、麻酔下での治療中は、血圧、心拍数が上昇した興奮状態が続き、治療終了後、麻酔が切れてくると、血圧や心拍数が安定し、体が興奮状態から脱し、リラックスした状態になります。すると、そこで眠気が起きることがあります。また、体調不良や、寝不足の際に麻酔を使った治療を行うと、普段は何ともない麻酔の治療後に、眠気が強く出てくることがあります。
治療後の眠気は心配ありません
麻酔を使用した歯科治療後の眠気は、心配のないものがほとんどですので、ご安心ください。
ですが、もし麻酔を使用した治療後に毎回強い眠気が起きたり、お困りの場合は、麻酔薬の種類を変えたり、少しでも緊張状態を緩和するよう、対応いたしますので、歯科医師までご相談ください。
【注意】
ただし、歯科用麻酔を打った直後から、強い眠気(悪心、悪寒、眩暈など)を感じる場合にはすぐに歯科医師、スタッフにお声かけください。(アナフィラキシーショック、脳貧血などの恐れがあります。)