歯周病菌の種類
口の中には、300種類以上の様々な種類の細菌が存在しています。虫歯や歯周病に影響のある病原細菌だけではなく、健康な口の中にも細菌は数多く常在しています。その中で、歯周病に影響の大きい細菌は10種類程度といわれています。
最近では、感染している歯周病菌の種類によって、歯周病の進行の程度や症状が違う事がわかってきています。では、どんな細菌がいて、どんな症状に関係しているのでしょうか。主な細菌をいくつか紹介していきたいと思います。
歯周病に影響を与える細菌のタイプとは
歯周病菌は、「グラム陰性菌」「嫌気性菌」というタイプの細菌によって引き起こされます。
「グラム陰性菌」とは、細胞の外膜に内毒素を持っている細菌で、歯ぐきの粘膜の炎症を引き起こします。
「嫌気性菌」とは、増殖に酸素を必要としない細菌で、歯周ポケットの中などに棲息します。「嫌気性菌」の中には、酸素にさらされると死滅してしまう「編成嫌気性菌」と酸素がある中でも生存可能な「通性嫌気性菌」がいます。
最も歯周病に影響のある3大歯周病菌
次の3種類の細菌は、歯周病菌の中でも、重度の症状に影響を与える『3大歯周病菌』です。歯周病を発症している人の約7割に感染しているといわれています。
- プロフィロモナス・ジンジバーリス(P.g菌)
- 偏性嫌気性のグラム陰性桿菌です。他の歯周病原性グラム陰性菌とくっついて、ネバネバとした細菌の塊である“バイオフィルム”を形成します。強い付着力を持っており、強力に歯ぐきの周りの組織に付着・破壊します。そして細菌の内毒素により歯槽骨(歯を支えている顎の骨)を溶かします。
- トレポネーマ・デンティコーラ(T.d菌)
- 嫌気性のグラム陰性菌です。歯周ポケット内部に多く見られます。歯ぐきの細胞の隙間から、組織内に入り込み、さらには血管内に侵入します。そしてタンパク分解酵素によって、歯ぐきの周りの組織を破壊し、免疫機能を抑える事で、治癒を妨げます。
- タンネレラ・フォーサイセンシス(T.f菌)
- 嫌気性のグラム陰性菌です。なかなか通常の治療で治らない難治性の歯周病にみられます。また、歯ぐきの破壊の強い部分や、深部での活動性の高い病巣でみられる事も多いのが特徴です。T.d菌同様に、タンパク分解酵素を産生し、P.g菌同様に、内毒素を持ち酵素も産生します。
若年性歯周炎に影響する歯周病菌
- アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンス(A.a菌)
- 通性嫌気性のグラム陰性桿菌です。白血球の働きを低下させ、内毒素や「好中球」を破壊する「ロイコトキシン」という外毒素を産生します。歯ぐきの周りの組織内部に侵入し、急速に症状を悪化させます。
若年性歯周炎とは
通常歯周病は、30代後半以降に進行しますが、若年性歯周炎は、10代20代で発症する歯周病です。一旦発症すると急速に進行するのが特徴です。
妊娠期の感染に注意するべき歯周病菌
- プレボテーラ・インテルメディア(P.I菌)
- 嫌気性グラム陰性桿菌です。一般的に誰の口の中にも存在する常在菌ですが、増殖すると、口腔内を不潔にし、歯周病を引き起こします、ホルモンバランスやつわりなどの影響で、妊娠期に増殖しやすいのが特徴です。
P.I菌が妊娠期に増殖しすぎると危険
女性ホルモン量が3倍に増加し、羊水の「プロスタグランジン」が急激に増えて、その結果子宮が収縮し、早産を引き起こすと言われています。