みなさんは矯正装置にどのようなイメージをお持ちでしょうか?
矯正治療では歯にブラケットという装置を張り付け、そこに弓形のワイヤーを通し、ブラケットに通したワイヤーが元の形に戻ろうとする力を利用して歯を移動させます。
矯正装置は1960〜1980年までは全て金属製の装置でした。そのため、この期間に矯正治療を受けた方や身近で矯正治療をしておられた方を目にされた方は、「矯正治療=銀色の金属で歯の表面が覆われてしまう」という強いイメージをお持ちかもしれません。矯正装置をつけていることを知られずに治療をしたい!という患者様のご希望は当時から強く、新たな矯正装置の開発が待たれていました。1980年代初頭に、歯の裏側に矯正装置を装着して外見上は矯正装置が全く見えない形で行う治療方法が開発され、歯の裏側からの矯正治療が普及し始めました。
歯の裏側から行う矯正治療には大きく分けて2種類あります。
・フルリンガル法
上顎と下顎の歯の裏側の両方に矯正装置をつけて行う方法です。
・ハーフリンガル法
外から見えやすい上顎の歯の裏側にだけ矯正装置を付け、下顎は今まで通りの歯の表側からセラミックなどの目立たない装置を付けた矯正装置で行う方法です。
<裏側から行う矯正治療のメリット>
- 矯正装置が見えないので審美的なストレスの無いこと
- 歯の裏側に装置を付けると、表側に装置を付けるのと比べて唾液による洗浄効果で虫歯になるリスクが下がると言われています。もちろん、毎日の丁寧な歯と矯正装置のブラッシングは欠かせません。
- 歯の裏側からの矯正治療は、前歯が前方に出ている出っ歯の患者様に対し有利な点もあります。裏側からの矯正治療は、舌の前方への動きの抑制等、前歯を前に出す力が働きにくくなるため、前歯をよりスムーズに下げられるという有利な点がございます。
<裏側から行う矯正治療のデメリット>
- 歯の裏側から行う矯正装置を装着した直後は、発音がしにくくなります。これは、舌を歯の裏側に当てて発音する音に影響を与えるためです。日本語ではサ・タ・ラ行の言葉、英語だとTh、L、R、のつく言葉の発音に影響が出ることがあります。ほとんどの場合、1ヶ月も経てば装置をつけての発音にも慣れ、通常通りの会話が可能になります。
- 費用は表側の矯正装置に比べてやや割高になります。裏側からの矯正治療は表側からに比べてより高度な治療技術が必要な事、ブラケットの位置決めやワイヤー交換などの作業などの処置に、表側からの矯正治療よりも時間を要することなどが反映されています。
- 歯ならびにガタガタが強い場合、装置の特性上、最初からすべての歯に装置が装着することが困難なことが多く、表側に比べ治療期間が長くなるケースがございます。
いかがでしたか?
現在では裏側からの矯正治療用の素材も進歩は目覚ましく、矯正期間・治療結果共に表側からの矯正治療と変わらない水準の治療が可能になっています。
「矯正装置が見えるから・・・」という理由で矯正治療のチャンスを逃してしまうのはもったいない事です。当院でもたくさんの患者様が矯正装置の見えない歯の裏側からの治療を受けられ、治療結果に対するお喜びの声を数多くいただいております。歯の裏側からの矯正治療に要する期間は患者様お一人お一人のお口の中の状態によって異なります。ご興味をお持ちの方は、ぜひ当院にご相談ください。