歯磨きは食後いつするのがベストか?
ご飯を食べたら歯磨きしなさい。子供の頃から、親によく言われてきた台詞です。子供の頃は歯磨きするのが面倒くさくて、なぜ歯磨きしなければいけないのかと子供心に疑問を感じたことはありませんか?大人になるにつれ歯磨きの必要性は分かってきましたが、忙しい時にはやはり歯磨きを煩わしく感じることもあります。それでも歯を磨くという行為は、人が生きている限り行わなければいけない使命のようなものです。行わなければいけないのなら、できるだけ効率よく効果的に磨きたいですよね。その為には歯ブラシや歯磨き粉の選択、磨き方も重要になってくるのですが、ここでは効率よく歯磨きする為には、食後どのタイミングで歯磨きするのが一番いいかについてお話したいと思います。
歯磨きしなければいけない理由
歯磨きは食後いつするのがベストか?ということを考える前に、歯磨きの目的を明確にしましょう。そもそもなぜ歯磨きしなければいけないのでしょうか?その為にはまず歯磨きしないでお口の中に汚れが溜まっていくと、どうなるのかを考えてみて下さい。お口の中に残った食べかすなどは、食後およそ八時間で細菌のかたまりである歯垢(プラーク)というものに変化し始めます。この細菌の中には虫歯や歯周病の原因となる菌も含まれています。歯垢はお口の中に元からいる細菌が食べかすなどの糖を餌にして作り出すネバネバしたものです。食後すぐの食べかすは粘着力が弱く、容易な力の歯磨きだけで簡単に除去することができます。しかし歯垢となってしまったものはネバネバしているので歯の表面に付着する力が強く、もう容易な力の歯磨きでは取ることはできません。長い時間をかけて念入りに歯磨きしなければなりません。この細菌のかたまりである歯垢が、最近は動脈硬化や心筋梗塞の原因となることも知られてきました。歯垢の中にある歯周病菌が歯ぐきの中に侵入し、血管を通って心臓に送られ、全身を巡るのです。想像したら、恐くなってきませんか?つまり歯磨きしないで、お口の中に汚れが溜まっていくと、虫歯や歯周病になるだけでなく、全身の健康を害する恐れもあるということです。だから、歯磨きでお口の中の汚れを清掃して、常に清潔にしておく必要がある訳ですね。
口の中の汚れは時間が経てば経つほど除去困難なものに変わる
だったら食べかすが歯垢になるまでの八時間の間に歯磨きすればいいじゃないかと思われる方もいらっしゃると思います。しかし上記でも説明しましたように、ネバネバした歯垢は除去するのに時間がかかります。しかも歯垢に変わった途端、ネバネバしたものに変化する訳ではありません。食べかすが歯垢に変わっていく過程の中で、段々とネバネバしたものに変化していくのです。つまり時間が経てば経つほどネバネバしてきて除去するのが困難になっていくという訳です。除去するのが困難ということは、磨き残しが多々出てくる可能性があります。そして、この歯垢は四十八時間ほどで歯石というものに変化します。歯石は、歯垢が唾液中のカルシウムなどと結びついて、石のように硬く変化したものです。歯石もまた細菌の住みかですので、取り除く必要がありますが、硬い石となってしまったものは時間をかけた念入りの歯磨きでも除去することはできません。歯科医院に行って取ってもらう必要があります。歯石を取る為だけに歯科医院に行くのは面倒という方も多いと思います。では歯科医院に行かず、つまり歯石になる前に、できれば歯垢になる前に、なるべく手軽に効率よくお口の中の汚れを清掃するには、どうしたらいいのでしょうか?答えはもう出ていますね。
まとめ
上記のことから、歯磨きの目的はお口の中の汚れの清掃、そしてお口の中の汚れは時間が経つほど除去困難なものに変わっていくということが分かりました。結果、歯磨きは食後なるべく早く、できればすぐに行うのがベストという結論に達します。外出先で歯を磨くことができない場合でも、食後すぐにうがいをすれば大方の食べかすなどは除去することができます。ただ細菌の作り出す酸だけでなく飲食物そのものの酸に弱い酸蝕症の方は食後すぐに歯磨きすると逆効果となることもありますので、まずはかかりつけの歯科医院などで相談されることをおすすめします。それ以外の皆さんは、ぜひ食後すぐの歯磨きを実行して、お口だけでなく全身の健康を守って下さい。