健康な歯を抜かずに歯並びを良くする事はできませんか？
Q)他の歯医者で相談したところ、歯を4本抜く必要があると言われました。健康な歯を抜かずに歯並びを良くする事はできませんか？
A)矯正治療の相談をされたところ、歯並びを良くするために歯を抜く必要があると歯科医から説明されて驚かれる方は少なくありません。
患者様にしてみれば、健康で特に問題の無い歯をどうして抜いてしまわないといけないのか、なかなか受け入れられない思いをされるかもしれません。
もし、単純に歯並びだけを良くしようとするならば、歯を抜かずに歯を凸凹なく配列する事はほとんどの方で可能です。
けれども、矯正治療では歯並びを良くすると共に、食べ物をうまく噛み砕く咀嚼機能や審美性(外見の美しさ)を両立した正常な噛み合わせも確立する必要があります。
つまり、歯並びだけ整っていても、食事や発音に支障が出たり、口元を中心とする顔貌がアンバランスになるとうまく治療できたことにはならないわけです。
そこで、これらの条件を満たすように歯並びを良くしようとすると、逆U字状の歯列に凸凹に生えている歯を並べるためのスペースを作る必要が出てきます。
この時に、成長期のお子様であれば顎の骨も発達途中ですので、顎の骨の発育を誘導しながら治療を行うことで、抜歯せずに治療できる可能性が高くなります。
その一方で体の成長が終わり顎の骨の発育が見込めない大人の場合は、他の方法でスペースを作ることとなります。ここでは外科手術の必要のない一般的な矯正治療でのスペースの作り方についてご説明します。
矯正治療でスペースを作る方法は3種類あります
- 歯列を外側（唇や頬側）に広げてスペースを作る方法
- 奥歯を後方(喉の方向)に移動してスペースを作る方法
- 抜歯してスペースを作る方法
１と２の方法でスペースが確保できれば、抜歯せずに矯正治療をすることができます。
ただし、歯列を外側に広げる側方拡大や奥歯の後方移動は無限にできるわけではなく、限界以上に歯列を拡大してしまうと、様々な問題が生じてきます。例えば、前歯の部分が前方に出すぎると、口元が突出してしまい、顔立ちが悪くなります。
また、噛み合わせが悪くなったり、治療をしたものの、無理がたたって治療後の歯列の後戻りを招くこともあります。こうなってしまうと後で後悔されてしまう事もあるので、適切な判断が必要になってきます。
このような理由から「どんな歯列の状態でも抜歯せずに治療できる」というのは不可能であることがご理解いただけるかと思います。
けれども、「健康な歯を抜かずにできるだけ治療したい」とは歯科医であれば誰もが望んでいる事であります。
また、当院では「健康な歯を抜かずに歯並びを良くしたい」という患者様の想いを最大限に大切にさせていただきたいと考えております。
現在では歯列模型のような規格に合った歯並びではなく、患者様お一人お一人に最も適した美しい歯並びを実現する「個性正常咬合」が矯正治療のゴールとなっています。
患者様お一人お一人の歯や顎骨などの状態を詳細に検査・分析し、最良の治療方針を選択することが重要と考えております。
まずは一度患者様の現在の状態を拝見し、ご希望や疑問点などを伺わせていただければと思います。ぜひ一度当院にご相談ください。
